ニュースの要約
- 東京商工リサーチの調査で、2023年に早期・希望退職を行った上場企業は57社で、前年から39%の増加。
- 募集人数は1万9人で、前年の3161人から3倍に急増。
- 特に電気機器業界が13社で3320人の削減を実施。
- メインとなるのは東証プライム企業で、黒字企業が多数を占めている。
- 経営改善ではなく、新分野への投資を目的とした構造改革が進行。
ニュースの概要
近年、日本の大企業における早期・希望退職制度の実施が加速している。東京商工リサーチのデータによれば、2023年に早期退職を募集した上場企業は57社で、前年の41社から39%増加した。募集人数も前年の3161人から大幅に増えて1万9人となり、3倍に達した。このような動きの背後には、大手企業が1000人を超える規模の人員削減を相次いで打ち出しており、業界全体において流動性が求められている姿が浮かび上がる。
業種別に見ると、電気機器が最も多く、次いで情報・通信業や繊維製品、医薬品、機械が続く。特筆すべきは、これらの企業の多くが東証プライムに上場しており、全体の約70%を占め、また黒字企業が全体の約6割を占める点である。この状況は、単なるリストラという枠を超え、企業が体力のあるうちに新しいビジネスに着手するための合理化を進めていることを示唆している。
かつては赤字企業が経営改善のために行う施策とされていたが、現在は黒字企業が新たな分野への挑戦を確実にするための選択肢として、この制度を利用している。結果として、従来の終身雇用制度の終焉が近づき、社員の適材適所の配置がますます重要視されるようになっていると、TSRの情報本部長である友田信男氏は述べている。
日本株全体への影響
日本株全体には短期的には負の影響が出る可能性が高い。リストラが広がること自体は、企業のコスト削減や将来の成長に向けた準備と捉えられる一方で、雇用不安から消費が落ち込む懸念が生じる。また、 +6割の黒字企業がリストラを行うという状況は、市場の信頼を揺るがす要因となり得るため、全体的な株価を押し下げる要因になりそうだ。このため、日本株全体の評価は-3とする。
日本の個別株への影響
ホンダ(7267・東証プライム)
評価:-2
予想解説
ホンダも大型リストラに取り組む可能性がある。これにより短期的には株価が下がる可能性があるが、長期的には新技術の開発へ資源を集中できるかもしれないため、下落幅は限定的か。
日産自動車(7201・東証プライム)
評価:-3
予想解説
日産は既に経営厳しいため、リストラはさらなる信頼を損なう要因となりうる。特に消費者心理に影響が及ぶ可能性が高い。
ソニーグループ(6758・東証プライム)
評価:+1
予想解説
ソニーはエンターテインメント分野で強力なポジションを持つ。リストラが技術開発を進めるきっかけになれば、株価にはポジティブな影響が期待できる。
パナソニック(6752・東証プライム)
評価:-1
予想解説
パナソニックもリストラ実施の可能性があり、業績に悪影響を及ぼすとみられるが、エネルギー関連の分野は成長しているため、下落はゆるやか。
リクルートホールディングス(6098・東証プライム)
評価:-4
予想解説
リクルートも雇用市場に直接影響を与える企業。企業の雇用不安が高まることでビジネスが縮小し、株価が大きく下落する懸念がある。
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