ニュースの要約
- 2024年1月14日、財務省が国際収支統計を発表。
- 経常収支は3兆3525億円の黒字と報告。
- 1〜11月の合計経常収支は28兆1844億円で過去最大を更新。
- 経常収支の黒字は第一次所得収支がけん引、貿易・サービス収支は赤字。
- 円高需要の可能性も示唆されているが、円安基調は続く見込み。
ニュースの概要
日本の財務省が発表した2024年11月の国際収支統計によると、経常収支は3兆3525億円の黒字を記録しました。特に、1月から11月の合計経常収支は驚異的な28兆1844億円となり、2007年の過去最大記録を大幅に超えました。この黒字の主要因は第一次所得収支であり、43兆9357億円の黒字が見られました。一方で、貿易収支とサービス収支は歴史的な赤字、水準に達しており、特にサービス収支の赤字が経済に影響を及ぼしています。これにより、日本は「サービス赤字の10兆円時代」に突入したとも言われています。
さらに、経常収支の構造変化は為替市場においても影響を及ぼすと考えられます。特に第一次所得収支は再投資が多く、外貨を円に換える実需が少ないため、円高につながる可能性がある一方で、貿易・サービス収支は円転を伴うため、黒字幅が拡大することで円の購入需要が増加し、円高を促す要因ともなります。しかし、円安の傾向が続く理由には米金利の動向も影響しており、この点においては短期的に変化が見られにくいとされています。
日本株全体への影響
経常収支の黒字拡大は、特に円高をもたらす可能性があるため、輸出企業にとってネガティブな影響を及ぼす可能性があります。円高は日本製品の輸出競争力を低めるため、製造業の株価に圧力がかかるかもしれません。しかし、経常収支の黒字が経済全体の健全性を示していることから、市場全体には安定感をもたらし、短絡的なパニックは少ないと考えられます。当面は円安の影響が続くため、日本株市場全体はさほど大きく動揺しないものの、個別株の調整が見られるでしょう。
評価:(+2)
日本の個別株への影響
トヨタ自動車(7203・東証プライム)
評価:(+1)
予想解説
円高傾向の影響を受け、輸出競争力が低下するため、株価にはマイナス影響。とはいえ、業績は堅調であるため、下支えとして一定の安定感が期待される。
ソニーグループ(6758・東証プライム)
評価:(+1)
予想解説
デジタルコンテンツやゲームの強さを持つソニーにとって、経常収支の改善は投資基盤の強化につながる。しかし、円高が利益を圧迫する可能性も残るため、慎重な姿勢が求められる。
任天堂(7974・東証プライム)
評価:(+2)
予想解説
任天堂はドル建てでの売上が多いため、円高による影響はあるものの、新作ゲームの期待感が株価に好影響を及ぼす可能性がある。
キヤノン(7751・東証プライム)
評価:(-1)
予想解説
カメラやプリンター部門が円高の影響を受けやすく、業績悪化が懸念される。ただし、効率化の進展が評価される余地もある。
ファーストリテイリング(9983・東証プライム)
評価:(+2)
予想解説
円高が海外販売に影響を及ぼす一方、国内売上は堅調であり、強力なブランド戦略が株価を下支えする可能性が高い。
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