ニュースの要約
- 日本の賃金が上がらない原因について経済学者が言及。
- 労働生産性は上昇しているが、実質賃金は四半世紀にわたり下落。
- 日本の実質GDP成長率は目標の2.0%に対し、0.7%にとどまっている。
- 経済成長はあっても、賃金上昇が伴わない「不都合な関係」が存在。
- 企業の利潤最大化志向や労働分配率の変化が影響している。
ニュースの概要
日本の賃金が増加しない背景には、労働生産性の上昇と実質賃金の下落が逆転しているという構造があります。日本経済の実質GDPは、2003年以降の年平均成長率が0.7%程度であり、長期的な成長目標である2.0%には遠く及びません。この間、リーマンショックやパンデミックによる短期的な影響が見られるため、成長率はこのように低迷しています。特に、1997年以降、実質賃金は平均年0.7%減少している一方で、労働生産性は年平均0.5%増加しています。このような状態は、経済が成長しているにもかかわらず、実質賃金が上がらない「不都合な関係」として捉えられています。
この問題のひとつの理由として、企業が利潤の最大化を追求する中で、労働分配率が不変ではなくなってきていることが挙げられます。このため、労働生産性の向上が賃金に反映されにくい状況が生まれています。さらに、日本はグローバリゼーションの中で競争が激化していることも、賃金上昇を阻害している要因と考えられます。賃金の低迷は消費にネガティブな影響を与え、結果的には経済全体の成長にさらなるブレーキをかける懸念があります。
日本株全体への影響
日本全体の株価には、長期的に実質賃金が上昇しない限り、消費の伸びが期待できないため、悲観的な影響が出る可能性が高いです。企業収益は成長するとしても、それが労働者への還元に結びつかないと、消費者の購買力は向上せず、市場全体の活性化が図れません。従って、日本株全体への影響は、ネガティブに作用することが予想されます。
評価は、-4としました。賃金上昇の低迷は消費に悪影響を及ぼし、結果として企業の売上や利益に抑制的な圧力がかかるためです。
日本の個別株への影響
トヨタ自動車(7203・東証1部)
評価:-3
予想解説
トヨタは日本経済の牽引役ですが、国内消費が低迷すれば自動車の販売も影響を受けやすいと見られます。グローバル市場への依存もあり、国内需要の低下は懸念材料です。
ソニーグループ(6758・東証1部)
評価:-2
予想解説
エンタメ市場において収益基盤は多様化していますが、国内市場の消費低下はゲームや映画の収益に影響を及ぼし、結果的な株価に悪影響を与えるでしょう。
任天堂(7974・東証1部)
評価:-1
予想解説
国内外に強いブランドを持つ任天堂ですが、国内の消費者の購買力が低迷すれば、ゲーム機やソフトの販売にマイナス影響が及ぶ可能性があります。
ファーストリテイリング(9983・東証1部)
評価:-4
予想解説
ファッション業界は特に消費の影響を受けやすいため、実質賃金の低迷はファーストリテイリングの売上に直結します。低迷が長引けば、株価下落の要因になり得ます。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306・東証1部)
評価:-2
予想解説
金融セクター全体が経済成長の鈍化の影響下にある中、融資先の企業業績悪化が利鞘の圧縮を招き、株価に対して流れ弾を受ける展開が考えられます。
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